防犯と尊厳につながる「同意」

包括的性教育no.3【同意】

no.1、no.2で「何を快・不快と感じるかは、人により全く異なる」というお話をしてきました。
感じ方は千差万別なのです。当たり前のようですが、人間関係において、特に身近で親しい関係性の中で、人は往々にしてそのことを忘れがちになります。
わたしたちは、感じ方が違う者同士の集まりです。その中で、どう自分を守り、どう関係を築いていったらよいのか。今日は「同意」というお話です。

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同意とは何か

自分が思うことと同じことを相手も思っているとは限りません。また、相手は気にしていないことでも、自分はとても気になるということも起こります。何かをする場合には、まず、自分の気持ちや想いを伝え、相手はどう思っているのかを聞くことが必要です。
そして、お互いが納得している(賛成・YES!)であるなら、それを【同意】と言います。

  • ドアをノックして「いいよ」と言われてから部屋に入る。
  • この写真SNSにあげてもいい?と確認してから投稿する。
  • 今度の休み一緒に〇〇へ行きたいんだけど、あなたはどう思う?。 

    このように、日常生活で何気なく同意をとっていることも多いと思います。

もし、一方から同意が得られなければ、その気持ちを尊重し、やめなければなりません。例え良かれと思っても、一方的に押し付けてしまうと、相手の気持ちを傷つけることになるからです。

嫌と言えずに我慢をしたことはありませんか?。同意できない時は、どうすればよいのでしょうか。

NO!は、わがままではない

もし、同意に不安がある場合は、自分が感じたことを大切にし「NO!」と言ってよいのです。その場の雰囲気を優先したり、相手に気を遣い気持ちを抑えてしまうこともあるかもしれませんが、不快なことや嫌なことを尊重されるということは、人として当然の権利なのです。

NO!と言うことはわがままではありません。自分が感じていることを相手に伝える、それは自分を守る大切な手段です。ハードルが高いと感じるかもしれませんが、これからでも習慣にすることは可能です。

NO!の上手な伝え方

具体的な伝え方を、例を挙げてご紹介します。

  • Aは嫌だけど、Bならいいよ
    「気持ちは嬉しいけど家に行くのはごめんね。また近いうちに、ご飯に行こうよ。」
  • 今の気分を素直に伝える
    「この前は楽しかったけど、今日はそういう気分になれないんだ。」
  • 自分が大切にしていることを伝える
    「最近疲れてて体調整えることを優先したいから、今回は不参加にさせてもらうね。」

このように、今はそのことに賛同しないと伝える事であり、相手そのものを否定する事ではありません
NO!を伝えることでお互いを知ることに繋がり、自分も相手も守ることが出来るのです。

もし、相手が怒ったら…

自分の気持ちを大切にし伝えたら、相手が怒り出したり、不快感を露わにすることがあるかもしれません。しかしそれは、その人が自分の想いと違ったからと、ただ感情を表しているだけです。あなたがその責任を負う必要はありません
相手の感情は相手のものなので、どうすることも出来ないのです。

相手が自分で感情を消化するしかないと知っておく事も、自分を守ることに繋がります。

あなたは悪くない!「見せかけの同意」

  • 力ずく・一方的
    立場を利用する。強引にYESと言わせる
  • 脅し
    「〇〇しないと、〇〇しないぞ。」「誰かに言ったら、大変な目に合うぞ。」
  • 物やお金でつる
  • グルーミング
    いい人だと信じ込ませる。手懐ける。

このような手口を使われた場合、「嫌と言えなかった自分が悪い」「自分にも責任がある」と感じるかもしれませんが、これらは見せかけの同意で、同意したのではなく、させられたのです。例え応じてしまったとしても悪いのは相手です。

自分一人で不可能な場合は、相談窓口や第三者に入ってもらうことで、自分の尊厳を守ることができます。一人でどうしてよいか分からないときは「助けて」と言ってよいのです。

積み重ねが上達への道

相手を優先することが習慣になっていると、自分の気持ちが瞬時に分からず、自分を守るための「不快センサー」が鈍感になっていきます。不快な感覚を優先することは、防犯にも繋がります。はじめは上手く伝えられなくとも、意識して感じとり表現する日々の積み重ねで、自分の気持ちや想いを相手に伝えやすくなります。

NO!を伝えることは、自己表現です。受け入れ、受け入れられる経験を通し、自分も相手も尊重できる人間関係が育まれます。意見や想いの違う相手とも、コミュニケーションを重ねることで、よい関係にできたらいいですね。

この記事を書いた人

Trauma Care 運営
わたしを取り戻し「自由」に生きる。をテーマに、マインドフルネス×性教育×カウンセリングで、過去や社会に縛られない自分らしい生き方を応援している。

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